なぜFreeCADを使うのか?
いま、個人でも「自分のアイデアを形にできる時代」になりました。
3Dプリンターの普及により、ものづくりのハードルは確実に下がっています。
しかし――
3Dプリントするためには「3Dデータ」が必要です。
その3Dデータを、自分の手でつくれるようになること。
それが、このガイドの目的です。
FreeCADは、無料で高機能、そして商用利用も可能な3D CADです。
個人でも本格的な3Dデータを作成できる、魅力的な選択肢のひとつです。
一方で、操作方法や独特の流儀に戸惑い、
途中で挫折してしまう人が少なくないのも事実です。
このガイドでは、私自身がつまずきながら学び、実践してきたノウハウを、
できるだけわかりやすく整理しました。
個人でものづくりに挑戦しようとしている方の
確かな一歩目になれたら嬉しく思います。
FreeCADはパラメトリックモデラー
FreeCAD公式サイトに
「FreeCAD あなたのための3Dパラメトリック・モデラー」と書いてあります。
私も初めはパラメトリックモデラーであることを特に意識せず
何となく
Blenderのようなポリゴンモデラーではない
2DCADのように線を描くソフトの延長で数値を変えたら形状が変わるのが便利そう?
くらいに思っていました。
そんな感じでいざFreeCADを触ってみたのですが
- 数値を変えたら形が壊れた
- 線を描いたのに動いてしまう
- 拘束をしてみたらエラーが出てくるけど、理由がわからない
- とにかく線を描いてみたが押し出し、回転するとエラーになる
などなど思い通りにいかないことの連続でした。
「Fusion360ではなんとなく出来ていたのにFreeCADではそうもいかない」
悩んだ末に
「パラメトリックモデラー」であることをちゃんと理解したほうが良い」
のではと思い至りました。
パラメトリックモデリングの考え方
パラメトリックモデリングの定義を検索した結果を要約すると
パラメトリックモデリングとは、寸法、パラメータ(変数)、幾何拘束(平行、垂直など)を用いて形状を定義・制御する設計手法です。
となっています。
”パラメトリック”というキーワードから
「パラメーター(数値)」を用いるというのは何となくイメージできます。
”幾何拘束”はすぐにピンと来ないかもしれませんが、拘束とは形状に与える「ルール」のことです。
例えば 「この線とこの線は平行ですよ」というルールをFreeCADでは「平行拘束」と呼びます。
(つまり先述の「線を描いたのに動いてしまう」というのは原因不明なのではなく、形状のルールが確定していない線、つまり設計がまだ決まっていないというだけで、決して異常ではないということです。)
このように
『「パラメーター」と「ルール」を積み上げて目指すかたちをつくる』のがパラメトリックモデリングです。
FreeCADは
「形を直接描くソフト」ではなく
「形が生まれるルールを作り込んでいくソフト」ということができます。
この前提で
FreeCADのモデリングフローを大づかみで説明します。
FreeCADのモデリングフロー(大づかみ)
では、実際にFreeCADのモデリングはどのような流れで進むのでしょうか。
FreeCADのモデリングフローは大きく分けて以下の3つに分けられます。
1.スケッチを描く
2.フィーチャーを設定する
3.(結果として)3Dモデルがあらわれる
1.スケッチを描く
FreeCADでは形状のベースとなる線を「スケッチ」と呼びます。
FreeCADのモデリングではまずこのスケッチを描くところから始まります。
2.フィーチャーを設定する
FreeCADでは描いたスケッチに対して、押し出しや回転などの加工を設定するのですが
この押し出しや回転などの加工のことをFreeCADでは「フィーチャー」と呼びます。
3.(結果として)3Dモデルがあわられる
・スケッチとそれに設定するフィーチャー
・それぞれへの数値と拘束の定義
が揃った瞬間に3Dモデルの形状が決まります。
そして計算された結果が3Dモデルとして表示されます。

パラメトリックモデリングの特徴は
「1と2に対する数値やルールを変えることで3の3Dモデルの形状を変えることができる」
ところにあります。
メリットとして
・一つの形状の型を決めてしまえば、バリエーションを簡単に作れる
・寸法を変更する前提でデザインを試行錯誤できる
ことが挙げられます。
フィーチャーについて補足
FreeCADのモデリングの特徴である「フィーチャー」についてもう少し補足します。
さきほど
「FreeCADでは描いたスケッチに対して、押し出しや回転などの加工を設定するのですが
この押し出しや回転などの加工のことをFreeCADでは「フィーチャー」と呼びます。」
と説明しましたが
別の言い方をすると
フィーチャーとは「スケッチという2次元の定義を、どのように3次元に変換するかを指定するルール」ということもできます。
例えば、長方形のスケッチを「押し出す」と、立方体のような3D形状になります。
この“押し出す”という指示がフィーチャーです。
パラメトリックモデリングのコツ①「目指すかたちをつくるために逆算する」
FreeCADでは
「まず線を描く」のではなく「目指すかたちから逆算していく」
逆算思考のモデリングがおすすめです。
具体的には
目指すかたちをつくるために
↓
どんなフィーチャーを使うのが良いか?を考える
↓
フィーチャーが決まったら
↓
スケッチをどう描くかがおのずと決まってくる
という流れで考えると、モデリングがスムーズになります。

ただし、この逆算思考のモデリングは
一度に身につくものではなく、
モデリングを繰り返す中で少しずつ自然にできるようになります。
そして大切なことは
「目指すかたちを実現する方法はいくつもある」ということです。
FreeCADのモデリングに唯一の正解はありません。
このガイドでいくつかのアイデアを提示していきますので、
あなたの中での正解づくりの参考にしていただければと思います。
第1章のまとめ
・パラメトリックモデリングとは
「パラメーター」と「ルール」を積み上げて形を定義する方法
・FreeCADでは
2Dスケッチ → フィーチャー → 3Dモデル
という流れで形が生まれる
・「まず描く」のではなく
目指すかたちから逆算するとスムーズ
FreeCADのパラメトリックモデリングの概念が掴めたでしょうか?
次章からは、実際にこの考え方を使ってスケッチと拘束を具体的に解説していきます。

