なぜFreeCADを使うのか?
いまは、個人でも「自分のアイデアを形にできる時代」です。
3Dプリンターが身近になり、ものづくりのハードウェア環境は充実してきましたが
3Dプリントで必要な3Dデータ作成についてはハードルを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
3Dデータをダウンロードできるサイトもありますが、
ものづくりが好きな方であれば3Dデータも自分で作成したいのではと思います。
3Dデータを作成するには3DCADソフトを使用します。個人利用前提で代表的なものでは
- Autodesk Fusion
- Shapr3D
- FreeCAD
があります。
非商用などの制限はありますが、いずれも無料で利用開始できます。
私もこの3つのソフトを実際に使用して3Dプリントまで行いました。
使用した正直な感想でいうと
- 定番はFusion、書籍や動画も充実しているのでとにかく始めるには良い
- 実際Fusionで見様見真似でも初めて3Dプリントできた
- Shapr3Dは使用感がとても良い 質感設定してレンダリングできるのも魅力
- FreeCADは無料かつ商用利用可能なのが魅力→何度か試しては挫折
という感じでした。
Shapr3Dのサブスク更新時期になり、ソフトとしてはShapr3Dが私にはベストマッチでしたがずっとサブスクが現時点では厳しく、
Ver.1.0が正式リリースされたFreeCADに再度向き合うことにしました。
このガイドでは、私がFreeCADで挫折しかけながら蓄積したノウハウを
できるだけわかりやすく整理しました。
FreeCADで3Dプリントやものづくりに挑戦しようとしている方の
参考になれば嬉しいです。
FreeCADはパラメトリックモデラー

FreeCADの公式サイトに
「FreeCAD あなたのための3Dパラメトリック・モデラー」と書いてあります。
私もはじめはパラメトリックモデラーであることを特に意識せず
何となく
- Blenderのようなポリゴンモデラーではない
- 数値を変えたら形状が変わるのが便利そう
くらいに思っていました。
そんな感じでいざFreeCADを触ってみたのですが
- 線を描いたのに動いてしまう
- 数値を変えたら形が壊れた
- 拘束をしてみたらエラーが出てくるけど、理由がわからない
- とにかく線を描いてみたが押し出し、回転するとエラーになる
などなど思い通りにいかないことの連続でした。
「Fusion360やShapr3Dではなんとなく出来ていたのにFreeCADではそうもいかない」
悩んだ末に
「パラメトリックモデラーであることをちゃんと理解したほうが良い」
のではと思い至りました。
「ルールで形をつくる」のがパラメトリックモデリング
いろいろ調べてみると、
パラメトリックモデリングとは、
寸法などのパラメータ(変数)、拘束(平行、垂直など)を用いて形状を定義・制御する設計手法です。
と説明されています。
使っていくうちにわかってきたのが
FreeCADは
「形そのものを描く」ソフトではなく
「形が生まれるルールを作り込んでいく」ソフトだということでした。
例えば、
「この線は水平」
「この線とこの線は平行」
「この線の長さは200mm」
「この形状を15mm押し出す」
こうした“ルール”を積み上げていくと、
結果として形が決まる。
つまり先程の「線を描いたのに動いてしまう」というのは
原因不明なのではなく、必要なルールが足りていなかっただけで
決して異常ではないということでした。
ざっくり言うと
「パラメーター(数値)と(拘束などの)ルールを積み上げて目指すかたちをつくる」
のがパラメトリックモデリングである。
この前提があると暗中模索ではなく、少し視界がクリアな状態でFreeCADと向き合えるように
なってくると思います。
FreeCADのモデリングの流れはどう進むのか
FreeCADのモデリングは、大きくは以下の流れで進みます。
まず、スケッチを描きます。
これはこれからつくる3Dモデルのベースになる2Dの定義です。
次に、そのスケッチに対して
押し出しや回転などの操作を設定します。
FreeCADではこれを「フィーチャー」と呼びます。
そしてスケッチとフィーチャー、
そこに与えた数値や拘束が揃った瞬間に、
3Dモデルが“結果として”現れる。
FreeCADでは、
3Dモデルは「作るもの」というより、
条件が揃ったときに“現れるもの”に近いイメージです。
だからこそ、
数値やルールを変えれば、
モデルの形も変わります。
これがパラメトリックモデリングの特徴です。

パラメトリックモデリングのメリットとして
- 一つの形状の型を決めてしまえば、バリエーションを簡単に作れる
- 寸法を変更する前提でデザインを試行錯誤できる
ことが挙げられます。
パラメトリックモデリングのコツ「逆算する」
パラメトリックモデリングが
「パラメーター(数値)と(拘束などの)ルールを積み上げて目指すかたちをつくる」
ということを理解いただいたところで、
いくつかパラメトリックモデリングのポイントをお伝えします。
それは
「とりあえず描く」
ではなく
「段取りを考える」
ほうが良いということです。
木工などものづくりでは「段取り8分(事前の計画や準備が8割)」と言われます。
ルールを積み上げるパラメトリックモデリングと
ものづくりの段取り8分の考え方は似ています。
とはいえ、いきなり段取りと言われても難しいと思います。
段取りを考えながらすすめるコツは、「目指すかたちから”逆算する”こと」です。
【逆算でかんがえる】
まず目指すかたちを確認する
↓
その形を作るには、どんなフィーチャーが良いかを考える
↓
フィーチャーを決またら、スケッチの描き方も自然に決まってくる

試行錯誤が力になる
はじめのうちで迷うのは、フィーチャーをどう決めたら良いかだと思います。
目指すかたちが円柱形に近ければ
- 円を押し出しする
- 断面を回転する
のいずれもフィーチャーとしてありなのでどちらが良いか決めにくいかもしれません。
わたしもそうでしたが、この辺の判断は最初からはなかなか出来ないと思います。
「モデリングを繰り返す中で少しずつ自然にできるようになる。
とりあえず今回は押し出しでやってみよう」
という割り切りがあったほうがストレスが少ないと思います。
何度も試行錯誤しながら、
「側面に凹凸がある円柱なら押し出しでなくて回転のほうが効率が良いし、修正もしやすいな」
というふうに少しずつ身についていく感覚です。
目指すかたちにたどり着く方法は一つではない
FreeCADのモデリングに唯一の正解はありません。
それでも行き当たりばったりよりも
「こう思うから押し出しでいこう」とか
自分なりのあたりをつける、段取りを自分で決めてからつくる
ことをおすすめします。
それにより自分なりのモデリングの正解パターンが見えてくると思います。
第1章のまとめ
・パラメトリックモデリングとは
「パラメーター」と「ルール」を積み上げて形を定義する方法
・FreeCADでは
2Dスケッチ → フィーチャー → 3Dモデル
という流れで形が生まれる
・「まず描く」のではなく
目指すかたちから逆算するとスムーズ
ここまで読んでいただき
「なるほど、そういう考え方なのか」と
少しでも感覚が掴めていたら嬉しいです。
次章からは、実際にスケッチと拘束に触れながら
具体的に解説していきます。
