木工・CNC加工における「ストック」とは?材料選びから固定方法まで徹底解説

Close-up of wooden letter blocks spelling 'STOCK' on a table against a blurred green background.

この記事では、木工およびCNC加工の文脈における「ストック」について、その意味から適切な材料の選び方、そして加工の精度を左右する重要な固定方法まで、詳しく解説します。

「ストック」とは何か?

「ストック」とは、CNCルーターやフライス盤などで削り出して目的の形にする前の、加工前の木材やその他の素材の塊を指します。
いわば、作品作りの出発点となる材料です。


CNC加工におけるストックの重要性

CNC加工の精度や仕上がりは、デジタルデータや機械の性能だけでなく、使用するストックそのものに大きく影響されます。適切な材料を選び、正しく準備することが、成功への第一歩です。

ストック材料の種類

木工CNCでよく使用されるストックの材料には、以下のようなものがあります。

  • 無垢材: 木の種類(広葉樹、針葉樹など)によって硬さや木目が異なり、仕上がりの風合いも様々です。硬い木材はシャープな加工が可能ですが、加工負荷も大きくなります。
  • 合板: 薄い木板を何層にも重ねて接着したもので、反りや歪みが少なく、比較的安価で扱いやすい材料です。
  • MDF (中質繊維板): 細かく粉砕した木材等を板状に圧縮して固めたもので、均質で加工しやすく、塗装やシート貼りの下地にも適しています。
  • ケミカルウッド:ポリウレタンやエポキシ樹脂などに無機質のフィラー(充填材)を加えて作られた、人工的な木材です。天然木のような木目がなく、どの方向にも均一に切削できるのが大きな特徴です。これにより、加工の方向性を気にすることなく、滑らかで精度の高い加工が可能です。

無垢材をストックにする準備

美しい仕上がりと正確な加工のためには、材料の準備が不可欠です。

合板、MDF、ケミカルウッドなどの工場生産される材料は厚みが規格で決まっており誤差も少ないですが、 無垢材の場合は粗材(あらざい)の状態から、必要な大きさへと切り出して、厚みを調整し、ストックへと加工していかなければなりません。

  1. 寸法の確認: 設計したサイズに対して、十分に余裕のある大きさの粗材を準備します。
  2. 平面出し: 材料の表面と裏面が完全に平らであることが重要です。反りやねじれがあると、加工の深さが均一にならず、設計通りのものが作れません。必要に応じて、手押しカンナ盤などを使って平面を出します。
  3. 直角出し: 少なくとも一辺と一つの角が直角になっていると、機械への正確な設置が容易になります。こちらも手押しカンナ盤などを使用するのが一般的です。
  4. 厚み出し:平面が出ている材料を自動カンナ盤で厚さを調整していきます。捨て板分の厚さも考慮しましょう。
  5. 幅、長さを出す:厚みが調整できた材料をちょうどよい幅、長さに切ります。CNC加工時にクランプで固定する場合は固定部分も考慮したサイズにします。

材料の固定方法

CNC加工において、材料をいかに「動かないようにしっかりと固定するか」は、安全性と加工精度の両面から極めて重要です。加工中に材料が少しでもずれると、加工不良や、最悪の場合、刃物の破損や怪我につながる危険性があります。

ここでは、代表的な固定方法をいくつか紹介します。

1. クランプ(締め具)による固定

最も一般的で基本的な方法です。作業台(テーブル)の端に材料を置き、CクランプやFクランプなどで固定します。

  • メリット: 強力に固定でき、確実性が高い。
  • デメリット: クランプが加工範囲の邪魔になることがある。材料の大きさや形状によっては固定しづらい。

2. ネジや釘による固定

材料を直接、CNCマシンの加工テーブルまたは捨て板(加工テーブルを保護するための板)にネジで固定する方法です。

  • メリット: 材料の上面全体を加工範囲として使える。薄い板でもしっかりと固定しやすい。
  • デメリット: 完成品にネジ穴が残ってしまう(穴が隠れるデザインにするなどの工夫が必要)。

3. 両面テープによる固定

強力な両面テープを使って、材料を捨て板に貼り付ける方法です。特に、比較的小さな材料や、クランプが使えない形状のものに有効です。

  • メリット: 手軽で、材料の上面に障害物がない状態で加工できる。
  • デメリット: 大きな材料や、切削抵抗が大きい加工には向かない。剥がす際に材料や捨て板を傷つける可能性がある。

これらの方法を、加工する材料の大きさ、形状、加工内容によって使い分けることが、質の高いものづくりにつながります。

Snapmakerでのストック加工事例

以下の動画はSnapmakerにてストックを加工している様子です。
ストックはカシワの無垢材を使用。
ストックの固定方法は、ストックを捨て板(MDF8mm)に両面テープで貼り付け、捨て板を加工テーブルにクランプ固定しています。
クランプはSnapmaker純正品を使用しています。

「ストック」すなわち加工前の材料は、単なる素材ではありません。その特性を理解し、適切に準備・固定することが、CNC加工を成功させるための鍵となります。

他にもエンドミルの選定、2DCAMによるNCデータ(G-codeデータ)の作成などCNC加工に必要なノウハウについても随時公開していきます。

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